はじめに
タオバオや闲鱼で見つけた何だこれはと思う革靴を紹介する企画。
題して、
「何コレ?」
です。
私自身、革靴歴は浅いですので、自分の知識向上も兼ねてます笑
今回、「何コレ⁉︎」と思ったのはどんな革靴でしょうか。
さっそく見ていきましょう。
パンチドキャップトゥブーツ
パンチドキャップトゥとは
キャップトゥはその名の通り、トゥ(つま先)がキャップ(蓋)されているデザインのことを言います。
そして、パンチドは穴飾りのことです。
普通のキャップトゥやストレートチップですとただのステッチだけとなります。
パンチドキャップトゥの方が穴飾りがあり、華やかない印象を受けます。
そして、今回はパンチドキャップトゥのブーツを見つけたので紹介します。
パンチドキャップトゥブーツといえばジャンパーブーツ
パンチドキャップトゥと聞いて、オールデン好きならまっ先に思いつくのがこの
ジャンパーブーツ
ではないでしょうか。
こちらのブーツはレアカラーが有名で、シガーやラベロコードバンがあります。
こちらの写真は@kutsuhiko9さんが所有するジャンパーブーツ。
シガーとラベロコードバン。
いつ見ても惚れ惚れするカッコよさです。
ラストはバリーラスト。オールデンの中では定番のラストが採用されています。
その他に、ハワイのショップ「LEATHER SOLE」で別注されたジャンパーブーツはトゥルーバランスが採用されています。トゥルーバランスはインディーブーツに採用されているラストです。
こちらが@aldenstyleさんの所有するLEATHER SOLE別注のジャンパーブーツ。シガーコードバンです。
ブーツですので単純に使用する革の面積が広く、シガーコードバンを贅沢に使った逸品だと思います。
しかし、今回見つけたジャンパーブーツはこれらのものとなんか違うんです。
見つけたブーツはレアカラーコードバンではないので、もちろん色は違います。
違うのは形状です。つまり、ラストです。
上のブーツの形状を覚えて次の写真をご覧ください。
何コレ⁉︎
今回見つけたのはこちらです。
先ほどのジャンパーブーツと同じくパンチドキャップトゥです。
でもなんか違うような。
トゥのところになんか違和感があるんですよね。
説明文には特にラストについて触れられていません。しかし、型番があるので、とりあえずググってみましょう。
グーグルさーん
Alden 502で検索
検索結果がでました
TruLineラスト
こちらのブログで度々登場しているAlden Model Projectより、こちらが出てきました。
このLast(ラスト)に注目してください。なんとこのラスト…
TruLine(トゥルーライン)なんです。
はい。そうです。
よくわからないラストです。
といりあえずラスト表を見てみましょう。
うん。ありませんね。
ということは、現在使われていないラストということですね。
ちなみに私の所有するオールデンの中に
Truflare
というラストがあります。こちらは、別注品で現行のラストではなく、昔使われていたラストのようです。
TruflareとTruLine。
名称は似ていますね。ということはTruLineも昔のラストということでしょうか。ちょっと安易すぎる考えですが、あながち間違ってはいないようです。
先ほどのAlden Model Projectを見ていくと、ほぼオールデンの旧ロゴが刻印されています(一部別注品)
画像にあるように、インソールにはオールデンの旧ロゴが刻印されています。
こちらは、1990年代以前に使われていたロゴです。
そして、さらに他の商品も見ていくとこんなロゴに辿り着きます。
Sabel’s
インソールにはオールデンのロゴではなく、
Sabel’s
と刻印されています。
じゃオールデンじゃないのと思いますがこちらの写真を見ると…
見覚えのあるオールデンの表記です。
そして、型番も502と同じです。
つまり、Sabel’sのために作ったモデルということがわかります。
ここで疑問が…
Sabel’sって何?
正直私もよくわかりません。
一応調べてみると
1958年から1999年まで存在していたシューズメーカーのようで、メンズ、ウイメンズ、子どもようの靴を販売していたようです。
確かにこちらの502を調べていくとやたら小さなサイズに出会います。
us5以下のサイズがあります。女性用のサイズだと思います。
オールデンも昔は他ブランドの靴を製造していたんですね。勉強になります。
ということで、こちらのTruLineラストはSabel’sにも使われていたことから、1990年代以前のラストであると推測できます。
そうなってくると30年以上くらい前の靴ですので、ビンテージシューズのような扱いですね。
Alden 502の詳細
なんとなく情報がつかめてきたので、ここから詳細を見ていくことにしましょう。
TruLineはどんなラスト?
こちら2つの画像をみるとラストの特徴がわかってきます。
先程もトゥの部分に違和感があると書きましたが、アウトソールの形状を見てその違和感がわかりました。
アウトソールをみると、トゥの部分がどう見ても
スクエアトゥです。
現行ラストでスクエアトゥというと…
プラザラストがあります。
プラザラストは細身のラストですので、スクエア感が薄いように思います。
となると、以前の「何コレ⁉︎」で紹介した
Kendallラストに近そうです。
Kendallラストはバリーラストのようにワイド目の作りですので、よりスクエア感があります。
TruLineラストもKendalllラストのようなスクエア形状です。
しかし、トゥの部分は同じでも土踏まずの部分が違います。
見比べてみましょう。
比較のため、オールデンの定番ラストであるバリーラストも追加しました。
TruLineとKendallはトゥがスクエアになっているのがアウトソールを見るとわかります。そして、Kendallとバリーは全体的にワイドな作りとなっています。
それに対してTruLineは土踏まずの部分が絞られています。土踏まずの部分でフィットさせて、トゥ部分はワイドにして圧迫感をなくしているようなラストです。
土踏まずが絞られてトゥにゆとりがあるラストだと、モディファイドラストのような感じがします。
また、トップリフトも特徴的です。
トップリフトの赤丸で囲った部分をアゴと言います。
何か特徴的ではないですか?
通常、アゴは左右対象です。バリーラストを見返してみるとそうなっていますね。
それに対して、
TruLineで使われているトップリフトは左右非対称で土踏まずのある足の内側が長くなっています。これによって土踏まずをぐっと押された履き心地となるようです。
土踏まずを押された履き心地といえば、モディファイドラストですよね。ここでもモディファイドラストとの共通点が出てきました。
ちなみにモディファイドラストはこんな形状です。
これを見ると土踏まず部がえぐられているように絞られています。そして、トップリフトに注目するとアゴの部分が非対称です。ですが、若干TruLineと形状が異なります。
ラコタハウスのホームページを見ると、トップリフトの名称がわかりました。
TruLineに使われているトップリフトは
トーマスヒールと言います。
そして、モディファイドラストに使われているトップリフトは
アーコヒールと言います。
トーマスヒールの方が、土踏まず部のアゴが長くなっています。
なんとなく、TruLineラストの特徴がわかってきました。
まとめると以下になります。
- スクエアトゥでワイドな作り
- 土踏まず部が絞られている
- トーマスヒールが使われている
形状的に日本人の足形にも合いやすいラストだと思います。
素材は?
オールデンといえばコードバンですが、こちらの502はカーフとなっております。
しかし、いろいろな写真を見ると、光沢があります。
写真写りで光沢が出ているのか、ガラスレザーのように加工されているのかは正直わかりません。
カーフとだけ書いてあるので、詳細はわかりません。
ご存じの方がいたら教えて欲しいです。
そして、素材に関してもう一つ注目する場所があります。それが、ライニング(裏地)です。
通常、オールデンのライニングは革です。
このように茶色の革がライニングとして貼られています。
しかし、502のブーツのライニングをみると革ではありません。(既に画像が出ていますので、お気づきの方もいらっしゃるかもしれません)
この画像を見ると白っぽいライニングが見えます。
このライニングはリネンのようです。他のモデルにも使われているのでしょうか?現在の私にはわかりません。勉強不足です。
しかし、私はこの感じをどこかで見たことがあります。それは私の所有する靴の中にあります。
それが、
ダナーマウンテンライトです。
ダナーマウンテンライトのライニングはこんな感じです。
おそらく、革のライニングよりも柔らかくなり、足に馴染みやすくするためにリネンのライニングを使っているのではないかと思います。
特にブーツですと足首周りが当たるので硬い革ですと痛くなります。それを防ぐための配慮ではないでしょうか。
502のまとめ
ここまで得た情報をまとめると…
型番 | 502 |
デザイン | パンチドキャップトゥ |
アッパー素材 | カーフ |
ライニング素材 | リネン |
ラスト | TruLine |
アウトソール | レザーソール |
特徴的なのはやはりラストです。現行ではおそらく使われていないラストだと思いますが、別注などでもしかしたら使われているかもしれません。見つけた際はまた紹介します。
おわりに
パンチドキャップトゥブーツはいかがだったでしょうか。
また、よくわからなラストを発見してしまいました。
オールデンも奥が深いですね。
私としてはこうやって調べていくのが面白いです。なんとなく考古学の世界に足を突っ込んだような感覚です。歴史のあるブランドだからこそ、調べていくといろいろな発見ができます。
実におもしろい。
そして、今回のブーツを調べていく中でもう一つおもしろいブーツを見つけました。それはまた次回紹介します。
ということで今回はこの辺で
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