今回は気になっている革靴ブランドを紹介します。
Instagramと某フリマサイトでたまたま見つけ、「なんだこのブランドは?」と思ったブランドです。
見た目は、アメリカの有名ブランド「Alden」に似ています。
そして生産国は中国です。
これだけ聞くと「コピー品?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。
なぜなら、このブランドは……
というのをこれから説明していきます。
Grant Stone
今回気になったブランドは…
Grant Stoneというブランドです。
どういったブランドのなのか早速見ていきましょう。
Grant Stoneとは
Grant Stoneは2016年に米国で誕生した紳士靴ブランドです。しかし、Grant Stoneは数多く存在する新興ブランドの1つではありません。彼らの靴づくりのルーツは、60年前まで遡る必要があります。
1957年、世界的に有名な紳士靴ブランドであるAlden(オールデン)にて、1人の紳士がセールスマンとして働き始めます。
彼の名は、Floyd Gilmore。彼はMr.Aldenと称されるほど、誰よりもAldenについての知識と経験を持っています。(60年のキャリアをもって、2017年末に惜しまれつつ引退しました)
Floydの息子であるRandy GilmoreもまたAldenで長年働いていました。
友人が中国の厦門(アモイ)で経営している製靴工場にて、新たにグッドイヤーウェルト製法の靴づくりプロジェクトを立ち上げるため、Aldenを辞めて、厦門に移りました。それが1995年の事でした。そして、Randyの息子であるWyattもまた靴産業に参入しました。
彼は有名なDW Frommer のビスポークブーツスクールにて靴づくりの勉強をした後、父親のいる厦門の工場にて、インターンを始めました。FloydのAldenでの輝かしい実績と、Randyが育て上げた厦門での製靴技術に木型の開発、そしてWyattの起業家精神と、厦門で実際に靴づくりを行ってきた経験。
彼ら3代にわたり積み重ねられた知識や経験、そして情熱から生み出された紳士靴ブランド、それがGrant Stoneです。
※Getgoingより
しかも、その方はAldenで働いていました。そこで得た豊富な知識と経験はGrant Stoneの靴に色濃く反映されています。
冒頭でも述べたようにAldenに似ていると感じたのは、こんな理由からです。
ラストへのこだわり
Grant Stoneではいくつかのラストがあり、代表的なラストは…
Leo Last(レオラスト)です。
整形外科的アプローチというのがAldenイズムを感じます。Aldenも矯正靴を作っていた背景があります。
そしてレオラストの特徴はハイアーチ、開帳足、扁平足の方へ疲労を軽減し足をサポートし安定性を備えたフィット感です。
写真を見た感じですとAldenのバリーラストに近いラストではないかと予想できます。
また、レオラストは見た目にもこだわりがあります。前方部はほどよいボリュームを残しつつ、古き良きアイビースタイルのエレガントさがあるようにデザインされています。これもAldenのバリーラストに通ずる要素です。
素材へのこだわり
アッパーに使用する革は世界各国のタンナーから取り寄せています。
代表的な革は…
- アメリカのホーウィン社
- フランスのアノネイ社
- イギリスのチャールズ・F・ステッド社
となっています。
それぞれのタンナーで得意としている革や加工を各モデルに採用しています。
タンナー名を公表していないブランドもある中で、各モデルに使われている革のタンナーを明記しているのは、そこにこだわりがあるからではないでしょうか。
製法
Grant Stoneではグッドイヤーウェルト製法で靴作りが行われています。
ソール交換が複数回可能な製法です。
数十年と長く履ける製法です。
またコルクと一緒に土踏まず部分にシャンクを入れます。ブランドによってシャンクの材質は違います。
Grant Stoneで使われているのはスチールシャンク。Aldenでも同様にスチールシャンクが使われています。
コルクがあることでインソールのフィット感が増していき、スチールシャンクによって歩行の安定感が増します。
製法からも歩きやすさを求めるこだわりを感じます。
製造は中国の厦門(アモイ)
中国の福建省にあるのが厦門です。
昔から靴作りが盛んに行われていた場所です。福建省は台湾が見える場所としても有名です。台湾も靴作り行われている場所ですので、何か関係がありそうです。
Randyが、この都市にある工場にグッドイヤーウェルト製法を伝授して20年。今やこの工場は本国アメリカの製靴工場に匹敵するレベルに到達し、アメリカの有名アパレルブランドのOEMも請け負っています。
この工場の経営陣はを非常に優秀で、かつ少人数で構成されていて、様々な要求や変化に対して適切に対応しています。もちろん「徹底的に基本にこだわる」というGrant Stoneの靴づくりのポリシーも、しっかりと経営陣にも共有されています。
また、この工場にはサンプルルームが常設されており、そこでは靴づくりの各工程における改善や、Grant Stoneの試作など常にフル回転しています。Director のWyattは主張します。「決して安い人件費を求めて安易に中国で作っているわけではない。厦門の高い技術力に現場力、そしてSmall Management Teamがあるから、Grant Stoneの靴づくりが実現出来ている」Made in Xiamen が革靴にとって新たな付加価値となる日が来るかもしれません。
※Get Goingより
この話を聞く限り、中国製に対するマイナスイメージはあまり感じません。むしろ興味をそそられ、欲しくなります。
また昨今の中国製は進化を遂げていると感じます。私自身、中国製のブーツ、台湾製のレザースニーカーを所有しています。その靴から感じるモノづくりに対するこだわりは日本のモノづくりと同じように感じます。まだまだ中国製に対するマイナスイメージは払拭しきれていませんが、Grant Stoneの言うように中国製が付加価値となる時が来るかもしれません。
気になる4モデルを紹介
ここからはGrant Stoneで展開されているモデルの中で、個人的に気になった4つのモデルを紹介します。
それが…
- プレーントゥ
- ロングウイングチップ
- ペニーローファー
- ブーツ
です。
ではそれぞれ見ていきましょう。
Plain Toe
こちらはプレーントゥです。
レオラストを採用したモデルです。
こちらはブラックです。ブラックの他にも色違い、素材違いで展開があります。それぞれ革はこだわり抜かれた革です。
革靴を最初に買うのであれば黒のカーフをおすすめします。やはり、オンオフで使える使い勝手いのいい色だからです。
しかし、すでにプレーントゥの黒を持っている人も多いと思います。
そんな方にはクロムエクセルレザーをおすすめします。
クロムエクセルレザーはオイルが多く含まれた革です。ブーツでよく使われる素材で、水に強く、耐久性があり、柔らかさがある革です。履き込むことで、いいエイジングも見せてくれます。
シンプルなデザインのプレーントゥだからこそ、素材の表情を楽しむのがいいかと思います。
Longwing
アメリカ靴の特徴であるロングウイングチップ。
Aldenでキャリアを積んだ方が作ったブランドだけあって、ウイングチップはロングウイングチップです。
イギリス靴のショートウイングに比べると装飾が少なくなります。それがまたいい感じです。
アメリカ靴の無骨さが現れているように感じます。
Traveler Penny
アイビールックには欠かせないのがペニーローファーです。Aldenの定番であるバンラストのローファーに比べるとGrant Stoneのローファーは丸みのあるフォルムです。
ラストの見た目の印象ですと私の所有するAldenのローファーのレイドンラストに似ています。
先端に向かって少し細くなっている感じが似ています。またそれに伴ってモカ縫いもシャープになっています。
モカ縫いは立体的。こちらは職人によってハンドステッチで仕上げられています。
そして、この写真のモデルはなんとコードバンです。色味もウィスキーコードバンのような色合いで、コードバンの中ではレアカラーと呼ばれています。もちろんこちらのコードバンはホーウィン社のものです。
またモデル名からもわかるように、こちらのモデルはトラベラー、旅に履いていける快適な靴がコンセプトです。そのため、快適な履き心地を求めたラストになります。
ブーツ
モデル名はOttawa Bootsです。
甲にスプリットトゥのモカ縫いが施されたモデルです。Aldenのタンカーブーツと同じデザインです。
こちらのモカ縫いは職人の手で縫われています。ハンドステッチのため、モカ縫いが立体的に見えます。写真からもその立体感がわかります。ここにこのブーツのこだわりを感じます。
ラストはレオラスト。
ブーツにした時でもレオラストはボリューム感もあるので、ブーツにも適しているラストですね。
こちらはブラックのクロムエクセルレザーが使われており、男らしく仕上がっています。
経年変化も楽しみです。もちろん、クロムエクセルレザー以外の革もありますが、クロムエクセルレザーは柔らかさがあるので、履き心地を求めるのであればクロムエクセルがお勧めです。
こちらはシンプルなデザインの…
Diesel bootsです。
こちらもレオラストでクロムエクセルレザーを使用したもの。
Grant Stoneをおすすめする理由
ここまでGrant Stoneについてと主要モデルを紹介しました。
それを踏まえた上で、なぜGrant Stoneがおすすめなのかを書いていきます。
Grant Stoneをおすすめする理由は…
- 靴作りに対するこだわり
- 歩行性と見た目を考えたラスト
- 価格
この3つです。
靴作りに対するこだわり
先程も紹介していますが、靴作りに関するこだわりを感じます。
中国製に対するネガティブイメージを払拭してくれるだけのこだわりがあります。
製法、革、ラストなどその情報をHPで開示しているのも、そこに自信があるからだと思います。ブランドによってはそこが曖昧なところもあります。情報が見れると納得した上で選ぶことができます。
特に男性は、見た目のデザインだけで選ぶこともありますが、それ以外に「ブランドのこだわり」を知って買う方も多いです。私もそうです。
そのこだわりを感じられるのがGrant Stoneです。
歩行性と見た目を考えたラスト
靴はやはり道具という考えがあります。
足元を守る道具として、日々履かれています。そのため、歩きやすさ、快適性というのは重要な要素であると思います。
しかしながら、デザインの美しさを追求すると必ずしも履き心地がいい靴にはなりません。逆に履き心地を良くするため、足にぴったりフィットした靴を作ると見た目が損なわれる場合もあります。
Grant Stoneでは整形外科のアプローチからラスト作りがされており足に寄り添うラストです。さらに古き良きアイビースタイルを継承したデザインはエレガントさがあります。
履き心地と見た目を両立した素晴らしいラストだと思います。
もちろん人によって好みはあるので、Grant Stoneのラストやデザインが合わない方もいると思います。ですが、Alden等のラスト・デザインが好きな方には間違いなくハマると思います。
価格
ここまで価格には触れてきませんでしたが、やはり気になるのが価格ではないでしょうか。
Grant Stoneは海外のブランドであるため、海外販売価格と日本の販売価格では差があります。これはどの海外革靴ブランドでも同様です。
そしてGrant Stoneの販売価格は…
短靴で55,000円前後
ブーツで65,000円前後
です。
素材やデザインによって多少値段は前後します。
5万円台の革靴、皆さんはどう思うでしょうか?
高いですか?安いですか?
個人的には安いです。というよりコスパがいいです。おそらくこの製法、素材で革靴を製作したら5万円で販売できないと思います。もしくは5万円で販売しないと思います。
ちなみにAldenの販売価格は…
約10万〜14万円です。
Aldenから比べるとGrant Stoneの価格は半額。
10万円を超える革靴には手が出ない方も多いのではないでしょうか。そんな中で本格的な革靴が5万円台で手に入るのは嬉しいことです。しかも10万円を超えるAldenのイズムを感じられます。
また、海外での販売価格を見ると驚きです。
なんと…
$300前後です。
$1=100円と考えて、3万円台から買うことができます。これを見ると、やはり日本の関税って高いんですね。
海外ではコスパのいい靴として、YouTubeで紹介されています。
以上がおすすめの理由です。
特に革靴に興味を持ち初めた方には、最初の1足としていい革靴だと思います。
どこで買えるのか?
日本では…
Get Goingというオンラインショップで購入可能です。
- 一足目から送料無料
- 試し履きサンプル
- サイズ交換1回可能
といったサービスがあります。
試し履きサンプルはプレーントゥを1日借りることができ、1日かけてその履き心地を試すことができるサービスです。他のショップでは見たことのない面白いサービスですね。
さらに…
といったサービスもあります。
大阪市内から車で約1時間圏内に限りですが、試着やフィッテング、歩き方のアドバイスなどをしてくれます。所要時間は30分〜1時間となっているので、入念なアドバイスをしてくれそうです。予約が必要となるのでGet GoingのHPから予約してください。
これから取扱店が増えていくのを期待しています。
まとめ
Grant Stoneはいかがだったでしょうか。
製法、素材、ラストへのこだわりが見えるブランドです。
また、価格の面でも手が届きやすブランドですので、革靴に興味を持っている方や初めてのいい革靴を買いたい方にはおすすめです。
Grant Stoneが創立したのは2016年でまだまだ新しいブランドです。今後、どのように成長していくのか楽しみなブランドでもあります。
ということで今回はこの辺で
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